2011年09月30日 朝日新聞社 『子の返還「暴力あれば拒否」=ハーグ条約国内法で中間案』
子の返還「暴力あれば拒否」=ハーグ条約国内法で中間案
法務、外務両省は30日、国際結婚の破綻に伴う子の親権争いの解決ルールを定めたハーグ条約の加盟に向け、国内法整備に関する中間案をまとめた。日本人の親が子を連れ帰り、外国人の親が子の返還を請求するケースへの対応について、子や日本人親への暴力があった場合には返還を拒否できることを明記した。両省は10月末まで中間案に対する意見を公募した上、来年の通常国会に法案を提出する方針だ。
ハーグ条約は「子に身体的、精神的な害を及ぼし、耐え難い状況に置く重大な危険」がある場合に返還を拒否できると規定。中間案では、家庭内暴力を理由に帰国した親子を保護しやすくするため、具体的な表現で拒否できるケースを定めた。子に対する直接の暴力がなくても、配偶者間の暴力は「子に著しい心的外傷を与える」として、拒否理由に含めた。
「元居住国で子を監護をすることが不可能もしくは困難」な場合にも、返還を拒否できることとした。子を連れ帰った日本人親が外国で誘拐罪などで訴追される恐れがあることを念頭に置いた対応だ。
子の返還は家庭裁判所が判断し、不服のある場合には高裁や最高裁への上訴も認める。審理は原則非公開で、裁判所には調査権限を持たせる。審理に当たっては「子の意思を考慮しなければならない」とした。
[時事通信社]